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ランサムウェアおよび標的型攻撃(作成途中)

1.攻撃について

(1)攻撃の流れ

一般的な流れは以下

(2)ネットワーク経由でPCに侵入できるの?
Q.そもそもPCって、ローカルログオンしかできないんじゃないの?RDPが有効になっているの?なぜ、他のPCが侵入できるのか。

A.「ローカルログオンのみ許可」の設定でも、C$(管理共有)が開いていて、管理者権限が奪われると、不正侵入されます。「ローカル管理者アカウント(Administratorなど)」のパスワードが、簡単なものだったり、みんな同じだったりすることがよくあるのです。
また、乗っ取りたいPCのフォルダに遠隔操作ツールをコピーし、「サービスコントロールマネージャー(SCM)」や「WMI」といったWindowsの管理機能をネットワーク越しに叩きます。

(3)ラテラルムーブメントって、どのポートが多いの?

企業環境では、以下のポートに対するインバウンド(受信)通信がFWで意図的に許可されていることがよくあります。

用途 ポート 補足
ファイルとプリンターの共有 (SMB) TCP/445 たまに空いている。なぜかというと、プリンタでスキャンをする場合、それをPCに取り込むことがあるが、プリンタ→PCへの通信なので、空いている
Windows Management Instrumentation (WMI) TCP/135 および 動的ポート SKYSEA、LanScope、あるいはMicrosoftのSCCM(MECM)といった統合管理ツールを導入する際、空いている場合がある。Intuneは問題ない。PC側からクラウド(Microsoftのサーバー)に対しするアウトバウンド通信(HTTPS/443番)であるため
RDP TCP/3389 GUIベースでの横展開。意図的に空けてRDPをONにしないと接続不可
SSH TCP/22 Linuxサーバーやネットワーク機器(ルータ、スイッチ)への横展開で使用。意図的にSSHサービスを有効にしないと接続不可
Kerberos (認証) TCP/UDP/88 Active Directory環境において、「Pass-the-Ticket」や「ゴールデンチケット(ドメイン全体の万能鍵偽造)」といった高度な攻撃を行う際に、ドメインコントローラとの通信で発生します。PCはそもそも88番ポートは開いてないので、PCへの横展開への攻撃ではない

※ただし、対象PCのFW設定において、上記のような管理用ポート(TCP/445やTCP/135など)のインバウンド通信がすべて厳格にブロックされていれば、攻撃者はネットワーク越しにC$を開くことも、WMIを叩くこともできないため、このネットワーク経由の手法は失敗します。

(3)認証情報の漏洩

どうやって漏洩する?

1)フィッシング
 → 偽サイト等により、利用者が認証情報を入力してしまう

2)利用者PCのマルウェア感染
 → キーロガーや情報窃取型マルウェアにより認証情報が取得される

3)他システムで漏洩した認証情報の使い回し
 → パスワードの使い回しにより、別経路で漏洩したIDが悪用される

これらの漏洩した情報は、ブラックマーケットに送られる。以下のニュースに「160億件以上のログイン認証情報」とあるように、認証情報が闇で蓄積されている。

【参考URL】https://news.yahoo.co.jp/articles/301d83ae61b352a823182842fe908bffe791ade2
「160億件以上のログイン認証情報が流出していたことを6月19日に発表」「過去最大規模のデータ漏洩の一つ」「流出した情報には、URL、ログインID、パスワード、セッショントークン、クッキー、メタデータなどが含まれており」「インフォスティーラーマルウェア(ログイン情報や機密データを盗むことに特化したマルウェア)の急速な蔓延に強い懸念」

■参考:IAB
このブラックマーケットにおける認証情報の売買で暗躍しているのが、IAB(Initial Access Broker:初期アクセスブローカー)と呼ばれるサイバー犯罪者である。IABとは、企業や組織のネットワークへ侵入するための「初期アクセス権(VPNやRDPの認証情報、バックドアの接続権など)」を専門に取得し、それをランサムウェア攻撃者などの他の犯罪グループに販売する仲介業者
(4)EDR等の無効化
Q.そんなことはできるのか

A.攻撃者は認証情報を取得してログインするので、管理者権限が付与されていれば可能です。また、管理者権限付与されていない場合、権限昇格してOFFにしたのでしょう。

Q.そのような行為をしたら、EDRで検知するのではないか。

A.正規のユーザでログインした行為とみなされます。なので、EDRでは、無効化までの動作を検知はしなさそうです。一方、権限昇格などの動作は、動作によっては検知可能だと思います。 

Q.端末内でEDRが無効化されたことをアラートで送ることはできないのか。

A.可能です。CrowdstrikeなどのEDRの場合、EDRを無効したりアンインストールすると、管理コンソールにて検知できるようになっています。Widndows Defenderでもおそらくできます。※ちなみに、Defenderの削除はできないが、無効化はできる。

Q.じゃあなぜ気づけない?

A.いくつかの理由があると思います。
・そのような機能がないEDRであった
・アラートが多いので、アラートを見逃してしまった
・そもそも監視していなかった

また、無効にはするけど、マルウェア等で、管理コンソールにはそれらしき応答をするようにし、検知機能だけをOFFにする攻撃者もあるようです。やっかいですね。

■参考:BYOVD(Bring Your Own Vulnerable Driver)攻撃
攻撃者が「正規の署名済みだが脆弱性を持つドライバ」を標的端末に持ち込み、カーネルレベルで悪用する手法。これにより、EDRの無効化や特権プロセスの操作を試みます。CrowdStrike社の場合、「Falcon BYOVD protections」という機能が実装されているため、検知、防御ができる仕組みを実装しております。 ←機能を実装しているということは、そういう攻撃を受ける可能性があるということでしょう。
https://www.crowdstrike.com/en-us/blog/falcon-prevents-vulnerable-driver-attacks-real-world-intrusion/

(5)バックアップの削除
攻撃者はバックアップデータを削除したり、バックアップの機能を無効化したり停止したりします。なぜなら、被害者企業にバックアップデータがあったら、脅しが効かなくなるからです。

2.被害状況について

2.1 JIPDECの調査報告

(1)概要

・「『企業IT利活用動向調査2026』から見る 日本企業のDX、AI活用、ランサムウェア被害の実態」
(出典:https://www.jipdec.or.jp/archives/publications/h2le1c000000bkzt-att/ITresarch2026report.pdf
・以下は引用

ランサムウェアの感染割合は45.8%と約2社に 1社がランサムウェアの被害を経験しており、ランサムウェアが企業にとって極めて現実的な脅威とな っていることが示されている。身代金の支払い状況を見ると、感染被害にあった企業のうち身代金を支払った割合は20.1%、支払わ なかった割合は25.7%となっている。注目されるのは復旧の成否であり、身代金を支払っても復旧に成功した割合は20.2%にとどまる一方、復旧に失敗した割合は25.6%に上っている。
(2)データ化

❶ランサムウェア感染被害の全体状況

項目 社数 割合
被害に遭った(感染した) 507社 45.8%
被害に遭わなかった等 600社 54.2%

❷感染企業における「身代金」の支払い状況

項目 社数 割合(感染企業ベース)
支払った 222社 43.8%
支払わなかった 285社 56.2%

❸感染企業における「データ・システム」の復旧状況

項目 社数 割合(感染企業ベース)
復旧に成功した 224社 44.2%
復旧に失敗した 283社 55.8%

❹支払い有無別の復旧成否(クロス集計)
■ 身代金を支払った企業(222社)

項目 社数 割合
復旧に成功した 83社 37.4%
復旧に失敗した 139社 62.6%

■ 身代金を支払わなかった企業(285社)

項目 社数 割合
復旧に成功した 141社 49.5%
復旧に失敗した 144社 50.5%


❺考察(憶測で、正当な根拠はありません)
・「支払った企業(成功率37.4%)」よりも「支払わなかった企業(成功率49.5%)」の方が復旧率が高くなっています。これは「支払う行為」自体が復旧を阻害したのではなく、両者の「被害に遭う前の備え」(バックアップがあったなど)や「企業体質の違い」が影響していると考えられます。
・「身代金を払ったのに復旧できない」ケースの裏側には、単に「攻撃者にだまされた」以外にも、企業側のスキル不足・体制不足で、攻撃者から「復号するための鍵(ツール)」が送られてきても、復旧できなかったこともある可能性(あくまでも可能性)があると思います。

3.対策

(1)PCでの対策

・OSおよびソフトウェアの最新パッチ適用
・EDRの導入
・管理者権限を抜く
・許可されたアプリケーションしかインストールしない
 たとえば、攻撃者は Honeygain のような「帯域幅共有ツール(プロキシウェア)」を悪用し、被害者のPCを踏み台として利用します。
https://blog.talosintelligence.com/proxyware-abuse/
・PowerShell等のスクリプト実行制限
 一般ユーザーがPowerShellやWSH(Windows Script Host)を不用意に実行できないようにポリシーで制限します。
・可能であれば、業務で不要な機能は使えないようにする。たとえば、業務で不要な場合はRDP機能を無効化します。

(4)ID/パスワードが漏洩しないようにするためにすること

① システムを設計・提案する立場での対策
・パスワードに依存しない認証方式を採用(二要素認証(MFA)など)
・外部接続が必要な場合は入口を制限する→ 保守用途などは送信元IPアドレス制限を行う。

② 利用者(個人)の立場での対策
・ID/パスワードを使い回さない
・フィッシングサイトへの入力をしないように注意する
・ OS・ブラウザ・セキュリティ対策ソフトを最新に保つ。
・(最近では推奨されていませんが、)PWをたまには変える。※少なくとも、漏洩したと思われる場合はすぐに変える